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全国1位を4回取った私が気づいた、値下げより先に「売る相手」を変えるべき理由

2026/10/13

【要点】
・コストが上がる局面では、まず「販売先(売る相手)の見直し」をします
・値下げは利益を削り、価格で選ぶ顧客を集めてしまいます
・得をする人、決める力、届く道、続けられるかの基準で見直します

「人件費が上がったのに、取引先からは値下げを求められる」 「値上げをお願いしたら、他社に切り替えると言われた」

2026年10月、こうした悩みを抱える経営者や営業責任者は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えします。 コストが上がる局面でまずやるべきことは、値下げでも、今の取引先への値上げ交渉だけでもありません。「販売先(売る相手)の見直し」です。

この記事では、野村證券で全国1位を4回取り、現在は「令和の総合商社」として販路開拓と仕入れ支援を行うコミッターズ合同会社代表の私、川口忠大が、値下げに頼らない営業の順番を解説します。

この記事の流れ

  1. 目次

  2. 2026年度の最低賃金引き上げで、中小企業に何が起きているか

  3. なぜ値下げをしても売上は戻らないのか

  4. 売れない原因は「価格」ではなく「売る相手」にある

  5. 全国1位を4回取る前、私も相手を選んでいなかった

  6. 販売先を見直す4つの基準

  7. 新しい販売先を開拓する手順

  8. 販売先の見直しでやってはいけないこと

  9. よくある質問

  10. まとめ

目次

  1. 2026年度の最低賃金引き上げで、中小企業に何が起きているか

  2. なぜ値下げをしても売上は戻らないのか

  3. 売れない原因は「価格」ではなく「売る相手」にある

  4. 全国1位を4回取る前、私も相手を選んでいなかった

  5. 販売先を見直す4つの基準

  6. 新しい販売先を開拓する手順

  7. 販売先の見直しでやってはいけないこと

  8. よくある質問

  9. まとめ

1. 2026年度の最低賃金引き上げで、中小企業に何が起きているか

2026年度の地域別最低賃金は、10月1日から12月2日にかけて、都道府県ごとに順次発効しています。

労働政策研究・研修機構(JILPT)のまとめによると、引き上げ額は全国加重平均で過去2番目の大きさです。47都道府県すべてで引き上げられ、そのうち33府県は国の目安を上回る引き上げとなりました。

これに対し、日本商工会議所は「中小企業・小規模事業者の支払い能力からすると厳しい結果」とコメントしています。全国商工会連合会も、物価高や人件費の上昇分を十分に価格転嫁できている中小企業・小規模事業者はまだ少ない、と懸念を示しました。

つまり今、多くの中小企業が次の板挟みにあります。

・人件費と仕入れが上がる

・取引先への価格転嫁は進まない

・競合との価格競争で、むしろ値下げを求められる

この状況で「値段をどうするか」だけを考えると、打てる手はどんどん狭くなります。

2. なぜ値下げをしても売上は戻らないのか

値下げには即効性があるように見えます。しかし、次の3つの理由から、長い目で見ると売上も利益も戻りにくくなります。

一つ目は、利益が先に削られることです。 コストが上がっている中で値下げをすれば、同じ売上を得るためにより多く売らなければなりません。人手が足りない会社ほど、この負担は重くなります。

二つ目は、価格で選ぶ顧客が集まることです。 価格で買った相手は、価格で去っていきます。次にもっと安い会社が現れれば、そちらに移ってしまいます。

三つ目は、品質やサービスに無理が出ることです。 利益が薄くなると、どこかで手を抜かざるを得なくなります。結果として、顧客にも損をさせてしまいます。

私たちが大切にしているのは、「顧客に損をさせず、自分たちも利益を得る」取引です。値下げで双方が痩せていく関係は、長く続きません。

3. 売れない原因は「価格」ではなく「売る相手」にある

商談で断られたとき、多くの営業は「価格が高かった」と考えます。 しかし実際には、相手がそもそも「買う理由」を持っていなかったケースが少なくありません。

一般的な例を挙げます。 地方の食品メーカーが、地元のスーパー数社に商品を卸しているとします。原料費も人件費も上がったため値上げを打診したところ、「それなら他社の商品に替える」と言われた。結局値段を据え置き、利益を削ることになった。

このメーカーが考えるべきなのは、「どうやって値段を守るか」ではなく「この商品の価値を一番わかってくれる相手は誰か」です。都市部の飲食店、ギフトを探す法人、日本の食品を探す海外のバイヤー。相手が変われば、同じ商品でも評価は変わります。

もう一つ、サービス業の例です。 オフィスビルの定期清掃を請け負う会社が、入札のたびに価格で競り負けているとします。この会社にとって、衛生面の評価が売上や評判に直結する飲食店やクリニックは、まったく違う相手になり得ます。こうした相手にとって清掃は「コスト」ではなく「売上を守る仕組み」だからです。

売れない原因は、多くの場合、価格ではなく売る相手にあります。

4. 全国1位を4回取る前、私も相手を選んでいなかった

私自身の話を少しだけ書きます。

野村證券に入社して最初の配属は宮崎支店でした。1年目は自転車で住宅街を回り、一日100件、多い日は200件の飛び込みをしました。電話も、紹介のお願いもしました。

それでも、長いあいだ結果は出ませんでした。 今思えば、行動量は足りていたのに、相手を選んでいなかったのです。

転機は、営業する相手を資産を持つ方やオーナー社長に絞り、集中的・継続的に営業するようにしたことでした。相手を決めると、準備が変わり、会話が変わります。誰にでも通じる説明ではなく、その人に必要な話ができるようになりました。

その後、本店営業部に移り、全国1位を4回取ることができました。 才能が変わったのではなく、売る相手が変わったのです。

起業後にも、相手を決めずに失敗したことがあります。 交流会で名刺は1000枚を超えましたが、そこからの売上はほぼゼロでした。副業の営業マンを集める代理店組織では約300人が集まりましたが、実際に動いてくれたのは約10人でした。どちらも「数を集めること」に力を使い、「誰に何を売るか」の設計が足りなかったことが原因です。

5. 販売先を見直す4つの基準

では、どのような基準で販売先を見直せばよいのでしょうか。私が商材の販路を考えるときに使っている4つの基準を紹介します。

基準1:この商品で一番「得をする」のは誰か

「欲しい人」ではなく「得をする人」で考えます。業務が楽になる、売上が上がる、顧客満足が上がる。得の中身がはっきりしている相手ほど、価格より価値で判断してくれます。

基準2:その相手は決める力を持っているか

担当者が気に入ってくれても、決裁権がなければ話は進みません。オーナー企業の社長など、決める人と直接話せる相手を優先します。

基準3:その相手に自分から届く道はあるか

紹介を待つのではなく、こちらから近づけるかどうかです。SNS、メール、手紙、展示会など、狙った相手に直接届く経路を考えます。

基準4:その相手に続けて価値を届けられるか

一回の提案で決まる取引はほとんどありません。決めた相手に継続して会いに行き、毎回その相手にとって意味のある情報を持っていけるかが重要です。

今の取引先をこの4つで仕分けると、「長い付き合いだから続いているが、得をしているわけではない相手」が意外と多いことに気づくはずです。値下げを求められたときに交渉材料がないのは、こうした相手です。

6. 新しい販売先を開拓する手順

基準が決まったら、次の順番で新しい販売先を開拓します。

手順1:候補をリストにする

4つの基準に当てはまる業種・地域・企業規模を決め、候補を具体的な社名や店名まで落とし込みます。ここを曖昧にすると、交流会で名刺を集めるだけの「動いている感」に陥ります。

手順2:相手ごとに「得」を言語化する

同じ商品でも、飲食店と法人ギフトでは得の中身が違います。相手ごとに、一言で伝えられる提案を用意します。

手順3:自分からアプローチする

メール、手紙、SNSのメッセージ、電話など、相手に届く方法で連絡します。反応がなくても、母数が足りないだけのことが多いので、最低限の質を守りながら数を重ねます。

手順4:小さく試し、続ける

最初から大きな取引を狙わず、試験的な導入や少量の取引から始めます。結果を共有しながら、継続して関係を深めていきます。

私たちの会社でも、この手順で商材の売り先を探しています。たとえば米では、仕入れ先から調達するお米を飲食店・法人・個人に販売しながら、美容室などの店舗を近隣の方の受け取り場所にする構想を検討しています。送料や保管、受け取り拠点の近くに買い手が見つかるかなど課題は多く、まさに今、足を使って探しているところです。

7. 販売先の見直しでやってはいけないこと

最後に、販売先を見直すときに避けたいことを3つ挙げます。

・今の取引先を一斉に切ること:既存の取引は大切な土台です。見直しは「新しい相手を足す」ことから始めます。

・数だけを追うこと:名刺の枚数や代理店の人数は、成果ではありません。誰と話せたかを数えます。

・不安をあおる売り方をすること:「今だけ」「必ず儲かる」といった言葉で決めさせた取引は長続きしません。

8. よくある質問

Q. 小さな会社でも販売先を変えられますか?

はい。むしろ小さな会社ほど、意思決定が速く、相手を絞った営業に向いています。最初は1業種、1地域に絞って始めるのがおすすめです。

Q. 今の取引先への価格転嫁はあきらめるべきですか?

あきらめる必要はありません。新しい販売先ができると、既存の取引先との交渉でも「この取引がなくなっても会社が立ち行く」状態になり、落ち着いて話せるようになります。

Q. 営業の人手が足りない場合はどうすればいいですか?

候補リスト作りや文面作成などの作業はAIに任せ、人は相手との関係づくりに時間を使う方法があります。外部の営業支援を組み合わせるのも一つの手です。

Q. どの販売先から手をつければいいかわかりません。

まずは既存顧客の中で、価格の話をせずに長く買い続けてくれている相手を書き出してください。その相手の業種・規模・地域・購入理由に共通点があれば、それが次に狙うべき相手の手がかりになります。似た相手を10社、20社とリストにするところから始めましょう。

Q. 海外の販売先も検討すべきですか?

商品によっては有力な選択肢です。日本の食品や工芸品、技術を評価する海外の相手は少なくありません。いきなり現地法人を作るのではなく、国と相手を絞り、現地のパートナーを通じて小さく試すのが現実的な進め方です。


9. まとめ

・2026年度の最低賃金は10月から順次引き上げられ、価格転嫁に悩む中小企業は多い

・値下げは利益を削り、価格で選ぶ顧客を集めてしまう

・売れない原因の多くは、価格ではなく売る相手にある

・「得をする人」「決める力」「届く道」「続けられるか」の4つで販売先を見直す

・候補リスト→得の言語化→自分からアプローチ→小さく試して続ける、の順で開拓する

値段を動かす前に、売る相手を動かす。 まずは今の取引先の一覧を開き、「価格の話しかしない相手」と「価値の話ができる相手」を数えることから始めてみてください。

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