全国1位を4回取った私が、仕事で守っている5つのこと

2026/10/19

【要点】
・仕事の土台は「顧客に損をさせず、自分たちも利益を得る」ことです
・数を集めることと、相手を決めることは、別の仕事です
・確認できていないことは、確認できていないと伝えます

仕事で何を大事にしていますか。そう聞かれたとき、私が最初に答えることは決まっています。

「顧客に損をさせず、自分たちも利益を得る」ことです。

野村證券で全国1位を4回取り、いまは会社を経営している私が、仕事で守っていることを、5つにしぼって書きます。

この記事の流れ

  1. 顧客に損をさせず、自分たちも利益を得る

  2. 頑張る量の前に、誰のための仕事かを決める

  3. 「動いている感」にだまされない

  4. 相手を決め、自分から行き、続けて会う

  5. 確認できていないことは、断定しない

  6. 仕事観は、失敗の数だけ更新される

1. 顧客に損をさせず、自分たちも利益を得る

仕事の土台にしているのは、取引の両側が損をしないことです。

値下げで自分たちが痩せていく取引は、長く続きません。いずれ、品質かサービスのどこかに無理が出ます。その無理は、最後には顧客に返っていきます。

売れない時期の私は、断られたとき、よく「もう少し安ければ決まったのに」と考えていました。売れない営業ほど、価格のせいにしがちです。でも本当は、価格が理由ではなく、その人に買う理由がなかったのだと、いまは思っています。

だから私は、顧客だけが得をする取引も、自分たちだけが得をする取引も、どちらも選びません。双方が得をする形を、最初に探します。

この考え方は、売る相手を選ぶ場面でも同じです。価格だけで選ぶ相手は、価格で去っていきます。商品の価値をわかってくれる相手に届けるほうが、お互いにとって長く続く取引になります。

たとえば、相手の課題に合わない提案を、売上のために勧めることはしません。一般的な例ですが、今は必要のないものを「今だけ」と急がせて契約をいただいても、相手が後悔すれば、その取引は一度きりで終わります。目先の売上より、相手が納得して決められる状態をつくる。それが結果として、自分たちの利益にもなると考えています。

2. 頑張る量の前に、誰のための仕事かを決める

私は、野村證券に入社してから長いあいだ、結果が出ませんでした。

最初の配属は宮崎支店で、1年目は自転車で住宅街を回りました。1日に100件、多い日は200件、飛び込みをしました。電話もかけ、紹介もお願いしました。評価は低く、自分のことを「底辺」だと思っていました。

あとから振り返ると、量は足りていました。足りなかったのは、誰のための仕事かを決めることでした。

転機は、営業する相手を、資産を持つ方やオーナー社長に絞ったことです。行動量は落としていません。変えたのは、行動を向ける先でした。

相手を決めると、準備が変わります。その人の業界は今どうなっているか、何に困っていそうか。日経新聞を読むときも、「この記事はあの社長にとってどういう意味があるか」と考えるようになりました。

その後、本店営業部に移り、全国1位を4回取ることができました。経営者や富裕層、プロ野球選手の方々とも仕事をさせていただきました。才能が変わったわけではありません。仕事の向け先が変わったのだと思っています。

3. 「動いている感」にだまされない

仕事をしていると、動いているだけで安心してしまう瞬間があります。私にも、苦い経験があります。

起業して間もない頃、交流会にたくさん出ました。名刺は1000枚を超えましたが、そこから生まれた売上はほぼゼロでした。「誰に会うべきか」を決めずに、とにかく会っていたからです。

副業の営業マンを集める代理店組織を作ったときも、同じでした。約300人が集まりましたが、実際に動いてくれたのは約10人でした。集めることに力を使い、「誰に何を売ってもらうか」の設計が足りなかったのです。

この2つの失敗から、数を集めることと、相手を決めることは、別の仕事だと学びました。

名刺の枚数や、人数の多さは、成果ではありません。誰と話せたか、その後に何が動いたか。そこを見ないと、頑張っている感覚だけが残ります。

4. 相手を決め、自分から行き、続けて会う

営業のやり方は、野村證券の頃から変わっていません。相手を決める。決めた相手に、自分から行く。続けて会いに行く。この順番です。

いまの会社の顧客との出会い方は、SNS、紹介、メール営業が、おおむね4対3対3です。紹介だけに頼らず、狙った相手に自分から手紙やメールを出せるかどうかを、いつも考えています。

待っているだけでは、相手を選べません。自分から届けにいく道を持っていることが、仕事の自由度を広げてくれると感じています。

一度の提案で決まることは、ほとんどありません。決めた相手に、毎回その人にとって意味のある情報を持っていく。特別なやり方ではなく、続けることがすべてです。


5. 確認できていないことは、断定しない

顧客に損をさせないために、もうひとつ決めていることがあります。確認できていないことは、確認できていないと伝えることです。

商談の場では、「たぶん大丈夫です」と言ってしまえば、その場の空気は良くなります。でも、あとで違ったときに困るのは相手です。分からないことは、分からないと言う。調べてから答える。この小さな誠実さが、長い取引の信用をつくると考えています。

数字や実績も同じです。盛らず、事実だけを伝える。派手さはありませんが、積み上げた信用は、価格の勝負よりも強いと感じています。

仕事観は、失敗の数だけ更新される

ここまで書いた5つは、最初から持っていた考え方ではありません。売れなかった時期、名刺が増えただけの時期、人数が集まっても動かなかった時期。そのたびに、何が足りなかったのかを考えて、少しずつ更新してきたものです。

私は、仕事の腕は、成功の数よりも、失敗から何を学んだかで決まると思っています。失敗した直後は苦しいですが、そこで立ち止まって理由を考えた分だけ、次の仕事の精度が上がります。

もし、いま仕事でうまくいっていないと感じている方がいたら、頑張りが足りないと責める前に、次の3つを自分に問いかけてみてください。

・この仕事で、相手も自分も損をしない形になっているか

・誰のための仕事かを、決めているか

・動いていることと、成果が出ていることを、混同していないか

答えは、人それぞれです。ただ、問いを持って仕事をするだけで、同じ1日の使い方が変わってきます。

仕事は、才能の勝負ではなく、考え方と習慣の積み重ねです。今日の1件を、相手のために丁寧にやる。その繰り返しが、明日の自分の仕事をつくります。

私はこれからも、顧客に損をさせず、自分たちも利益を得る。その仕事を、続けていきます。

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コミッターズ合同会社 代表 川口忠大