【営業論】新人が辞める1年目を乗り切る方法|同期500人のうち約3割が辞めた現場から

2026/10/19

【要点】
・新人の1年目は、もともと人が減りやすい時期です(私の同期は約500人、1年で約3割が退職)
・成果が出ない日は、結果ではなく「やったこと」で自分を判断します
・成果が出ない時期は、量を増やす前に「向ける先」を見直します

営業の同期は、500人ほどいました。

1年たつころには、約3割が会社を去っていました。女性の営業に絞ると、半分近くです。

野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。

今日は、新人の1年目という、いちばん人が減る時期の話をします。辞めた人を責める話ではありません。残った側の私が、毎日何をしていたかを、そのまま書きます。新人を抱える経営者や、これから営業を始める方の参考になればと思います。

この記事の流れ

  1. 新人の1年目は、もともと人が減る場所です

  2. 1日100件、多い日は200件。成果が出ない日が、いちばん危ない

  3. 手紙を、毎日3〜5枚書いていました

  4. 朝5時に、先輩を起こしに行く風習

  5. 続けられた理由は、量ではなく「向ける先」を変えたから

  6. 新人を預かる経営者の方へ

  7. 新人が辞める前に、見ておきたい3つのサイン

  8. よくある質問

  9. まとめ

新人の1年目は、もともと人が減る場所です

最初の配属は宮崎支店でした。同期の営業は約500人。1年で約3割が辞め、女性の営業は約半分でした。

数字だけ見ると、驚く方が多いかもしれません。ただ、現場にいた私の実感は少し違います。辞める人が特別に弱かったわけではありません。売れない日が続いたとき、そのつらさを受け止める場所が、人によって違っただけだと思っています。

私自身、入社してから長いあいだ、結果は出ませんでした。評価は低く、自分のことを「底辺」だと思っていました。それでも辞めずに続けられた理由は、才能でも根性でもありません。毎日の「やることの形」が決まっていたからだと、いまは思っています。

1日100件、多い日は200件。成果が出ない日が、いちばん危ない

1年目は、真夏の炎天下でも、スーツで住宅街を回りました。1日に最低100件、多い日は200件の飛び込みです。汗でスーツに塩が浮くほどでした。

つらいのは、回る数ではありません。成果が出ない日が続くと、回る気力が落ちる。気力が落ちると、契約も取れない。取れないから、さらに回れなくなる。この悪循環が、いちばん人を削ります。

一方で、一件の大きい契約で、全部が吹き飛ぶこともありました。いま振り返って思うのは、悪循環に入った日は、「今日の結果で、自分を判断しない」ほうがいい、ということです。結果は、明日の自分に預ける。その日にできるのは、決めた件数を回ることだけです。

新人を預かる立場の方は、成果の出ない日の新人に、結果ではなく「やったこと」を聞いてあげてください。それだけで、悪循環の入口が一つ減ります。

手紙を、毎日3〜5枚書いていました

宮崎支店の新人時代、筆ペンで手紙を書いていました。お金持ちの方や、取引してくれた方に、毎日3〜5枚です。

この手紙には、決まりがありました。朝いちばんに、上司に実物を見せることです。件数はごまかせても、手紙はごまかせません。書いたかどうかが、紙として残るからです。

4年目には、自筆で1日8枚のノルマになりました。正直に言うと、楽ではありません。でも、成果が出ない時期に「今日これだけはやった」と言える物があることは、気持ちの支えになりました。

朝5時に、先輩を起こしに行く風習

寮には、1つ上の先輩を朝5時に起こしに行く風習がありました。起こしに行って、日経新聞で気になった記事の考察を話すためです。

新聞販売店に「朝4時にポストへ入れてください」と頼みに行ったとき、「毎年君の会社の新人が来るのよ」と笑われました。毎年、同じことをする新人がいる。つまり、この風習は、私より前から続いていたということです。

睡眠は、よくて平均3時間弱でした。いま同じことをすすめるつもりはありません。ただ、この習慣のおかげで、記事を「あの社長にとって、どういう意味があるか」と読む癖がつきました。のちに相手を絞る営業に切り替えたとき、この癖が準備の土台になりました。

続けられた理由は、量ではなく「向ける先」を変えたから

長い低迷のあと、転機が来ました。営業する相手を、資産を持つ方、オーナー社長に絞ったことです。

行動量は落としていません。変えたのは、行動を向ける先だけです。相手を決めると、準備の質が変わり、会話が変わりました。その後、本店営業部に移り、全国1位を4度取ることができました。

同期の約3割が辞めていった1年目を、私は「やることの形」で乗り切り、その後に「向ける先」を変えて抜けました。順番を整理すると、こうなります。

・最初の1年:結果ではなく、決めた件数と、手紙のような「やった証拠」で自分を支える

・低迷の時期:量は落とさず、向ける先を見直す

・転機のあと:決めた相手に、続けて会いに行く

新人を預かる経営者の方へ

ここまでの話を、新人を抱える会社に置き換えると、次の3つになります。

1つ目は、成果の出ない日の新人に、結果ではなく「やったこと」を聞くことです。

2つ目は、新人が「やった証拠」を残せる形をつくることです。手紙でも、日報でも、一覧表でも構いません。朝いちばんに上司が見る決まりがあると、続けやすくなります。

3つ目は、数か月たっても結果が出ないとき、量を増やす前に、向ける先を一緒に見直すことです。

辞める人を引き止めることだけが、育成ではありません。辞めない間の毎日を、どう支えるか。そこに、会社の力が出ると思っています。

新人が辞める前に、見ておきたい3つのサイン

ここからは、私の経験をもとにした一般的な整理です。数字の根拠を示すものではなく、現場で気づいた目安として読んでください。

1つ目は、報告が短くなることです。「特にありません」「回りました」だけになったら、気力が落ち始めているサインだと私は見ています。

2つ目は、朝の動き出しが遅くなることです。やることの形が崩れると、1日の最初の一歩が重くなります。

3つ目は、成果の話を避けるようになることです。結果が出ていない自覚がある人ほど、数字の話題から離れます。

この3つが見えたら、叱る前に、「今日やったこと」を一緒に書き出してみてください。結果の話は、そのあとで構いません。

よくある質問

Q. 営業が向いていない新人は、早めに辞めさせたほうがいいですか?

向き不向きは、数か月では分からないことが多いです。私自身、長いあいだ結果が出ませんでした。判断する前に、やることの形と、向ける先を見直してみてください。

Q. 手紙やノルマのような古い方法は、今も意味がありますか?

方法そのものより、「やった証拠が残る」ことに意味があると考えています。いまなら、日報でも、送信したメッセージの一覧でも同じ役割を果たします。

Q. 朝5時のような厳しい習慣は、新人に求めるべきですか?

求める必要はありません。私が書いたのは、当時の寮の風習と、そこから得た読み方の癖です。大事なのは、情報を「相手にとっての意味」で読む習慣のほうです。


まとめ

・営業の同期は約500人。1年で約3割が辞め、女性の営業は半分近くでした

・私が続けられたのは、毎日の「やることの形」が決まっていたからです

・成果が出ない日は、結果ではなく「やったこと」で自分を判断します

・低迷の出口は、量を増やすことではなく、向ける先を変えることでした

もし今、新人の育成や、営業の立て直しで悩んでいる方がいたら、まず「今日、何をやったか」を一緒に書き出すところから始めてみてください。

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