売れる営業の行動5つ|売れない営業との違いと、明日から使える型

【要点】
・売れる営業と売れない営業の差は、才能ではなく「行動の向け先」にあります
・会う前に相手の得を1行で書き、決めた相手に続けて会いに行くと、成果につながりやすくなります
・断られたあとは3行メモを残し、「動いている感」は数字で見破ります
商材はいいはずなのに、売れない。毎日動いているのに、結果が出ない。
原因は、才能でも根性でもなく、動いている「中身」にあることがほとんどです。
今日は、売れない側と売れる側の両方を経験した私が見てきた行動の差を5つに分けて、そのまま使える型にしてお渡しします。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
この記事の流れ
売れない人は、やる気がないのではなく「向ける先」が決まっていない
行動1:会う前に、相手の得を1行で書く
行動2:相手を決めて、続けて会いに行く
行動3:断られたあとに、価格のせいにしない
行動4:行動量は落とさず、向ける先だけを変える
行動5:「動いている感」を数字で見破る
型を使った例:地方の小さな製造業の場合
明日から使える、1日のチェックシート
よくある質問
結び:売れる人は、頑張る前に「向ける先」を決めている

売れない人は、やる気がないのではなく「向ける先」が決まっていない
最初にお伝えしたいのは、売れない営業の多くは、サボっていないということです。
私自身、入社してからの長いあいだ、結果が出ませんでした。住宅街を1日最低100件、多い日は200件、飛び込みで回りました。それでも売れませんでした。
あとから振り返ってわかったのは、行動量は足りていたということです。足りなかったのは、誰に向けて動くかを決めることでした。
そこで、売れる人と売れない人の差を、次の5つの行動に分けて整理しました。
会う前に、相手の得を1行で書く
相手を決めて、続けて会いに行く
断られたあとに、価格のせいにしない
行動量は落とさず、向ける先だけを変える
「動いている感」を数字で見破る
順番に、使える型を見ていきます。
行動1:会う前に、相手の得を1行で書く
売れる人は、会う前に準備の時間を取っています。難しいことはしません。やっているのは、次の1行を書くことだけです。
「この人にとって、今日の話を聞く得は、◯◯です。」
この1行が書けない相手には、まだ会う段階ではありません。商品の説明をするだけの面談になってしまうからです。
書き方の型は、次の3つの穴埋めです。
・相手は、◯◯の仕事をしている
・今、◯◯に困っていそうだ
・だから、私の話は◯◯の役に立つ
最初の一言が「御社の◯◯のお役に立てると思って来ました」になるか、「本日は弊社のサービスについてご説明に来ました」になるか。この差は、思っている以上に大きいです。
最初の30秒の話し方も、型にしておくと楽になります。
・相手の仕事への一言:「◯◯のお仕事をされていると伺いました」
・相手の得:「そこで、◯◯の面で、お役に立てる話を持ってきました」
・こちらの負担:「準備はこちらで進めますので、お時間は15分だけいただけますか」
・返しやすい質問:「今、◯◯と◯◯では、どちらが気になりますか」
この順番にすると、相手は「売り込まれている」より「自分の話をされている」と感じやすくなります。電話でも、訪問でも、メールの1通目でも、並べる順番は同じです。
行動2:相手を決めて、続けて会いに行く
売れない時期の私は、目の前のドアを全部叩いていました。話を聞いてくれる人には誰にでも話す。体はへとへとになりますが、積み上がりません。
転機は、営業する相手を絞ったことでした。資産を持つ方、オーナー社長に対象を決めて、集中的に、継続的に営業するようにしました。
相手を決めたら、次にやることは「続けて会いに行く」ことです。1回の面談で決まる取引は、多くありません。決めた相手に、毎回その人にとって意味のある情報を持っていく。特別なトークは必要なく、続けることがすべてです。
使える型として、相手リストは次の5列で作ってください。
・社名(または店名)
・決める人(社長、店長など)
・その人が今、気にしていそうなこと
・次に会う理由(持っていく情報)
・次に会う日
「次に会う日」が空欄のリストは、まだ営業の道具になっていません。商談が終わる前に、次の日付を決める。それだけで、継続して会いやすくなります。
以前、「商談は、座る前に9割終わっている」という記事で準備の話を書きました。準備の中心は、この5列のリストを埋めることだと考えています。
https://note.com/mr_dd/n/na6354eb54284
行動3:断られたあとに、価格のせいにしない
売れない営業ほど、断られたときに「価格が高かったから」と考えます。私も、何度もそう考えました。
でも、価格が理由だったことは、実際には少なかったと思います。多くの場合、相手には最初から買う理由がなかったのです。
断られたあと、すぐ次に進むのではなく、3行だけメモを残してください。
・断られた理由として、相手が口にした言葉
・その言葉の裏にありそうな、本当の理由の仮説
・次に変えること(相手、伝え方、タイミングのどれか)
この3行を残す人と残さない人では、100件後の動きが変わります。断られた数は失敗の数ではなく、「この伝え方は違った」と分かった数です。ただし、分かったことをメモに残さなければ、ただの疲労で終わります。
以前書いた「『検討します』で、商談を止めるな」でも触れましたが、断り文句には意味があります。意味を読む習慣が、次の商談の質を変えていきます。
https://note.com/mr_dd/n/nea741ada32d1
行動4:行動量は落とさず、向ける先だけを変える
ここで誤解してほしくないのは、「量より質」という話ではないことです。
私が売れるようになったとき、行動量は落としていません。変えたのは、行動を向ける先でした。量と向ける先は、どちらかを選ぶものではなく、両方そろって初めて成果につながります。
才能で負けても、量では勝てる。これは、今でも私が信じている考え方です。ただし、量は「向ける先」が決まっているときにだけ、力を発揮します。
https://note.com/mr_dd/n/nf6393f5dfa80
週に一度、次の2つの数字を見てください。
・今週、会った(連絡した)件数
・そのうち、決めた相手に当てはまる件数
2つ目の数字が全体の半分以下なら、頑張っている量の半分は、積み上がっていない可能性があります。量を増やす前に、向ける先を見直すタイミングです。

行動5:「動いている感」を数字で見破る
私にも、苦い経験があります。
起業して間もない頃、交流会にたくさん出ました。名刺は1000枚を超えましたが、そこから生まれた売上はほぼゼロでした。「誰に会うべきか」を決めずに、とにかく会っていたからです。
副業の営業マンを集める代理店組織を作ったときも、同じことが起きました。約300人が集まりましたが、実際に動いてくれたのは約10人でした。集めることに力を使い、「誰に何を売ってもらうか」の設計が足りなかったのです。
どちらも、手足は動いているのに、成果にはつながっていませんでした。「動いている感」は、気持ちを安心させてくれます。だからこそ、数字で見破る必要があります。
使える型は、次の3つの問いです。
・今月、名刺や連絡先を増やした数ではなく、「次の約束が決まった数」は何件か
・その約束は、決めた相手に当てはまっているか
・約束のあと、実際に取引や紹介に進んだ件数は何件か
数が多いことを成果と呼ばないこと。ここが、売れる人と売れない人の最後の分かれ目だと思っています。
型を使った例:地方の小さな製造業の場合
あくまで一般的な例です。地方で部品をつくる小さな工場が、新しい取引先を増やしたいとします。
これまでは、取引先の紹介を待ち、問い合わせが来たら見積もりを出すだけでした。ここに5つの行動を当てはめます。
行動1では、狙う業種を1つ決め、「この業種の購買担当は、納期の遅れに困っていそうだ。だから私の話は役に立つ」と1行で書きます。行動2では、その業種の会社を20社リストにして、決める人と次に会う日を列に入れます。行動3では、断られた理由を3行でメモし、納期の話なのか、取引条件の話なのかを分けます。行動4では、連絡する件数は変えずに、リストの外への連絡を減らします。行動5では、月末に「次の約束が決まった数」だけを数えます。
大きな仕組みは要りません。紙1枚とカレンダーで始められます。続けるうちに、どの相手に、どの一言が届くのかが、少しずつ見えてきます。
明日から使える、1日のチェックシート
ここまでの5つを、1日の中に落とし込むと、次のようになります。
朝:今日会う相手について、「相手の得」を1行で書く。
昼:商談や連絡の最後に、次に会う日を決める。
夜:断られた案件があれば、3行メモを残す。
週に一度:決めた相手に当てはまる件数を数える。
月に一度:「次の約束が決まった数」を数える。
この5つだけで、頑張りの向きが少しずつ変わります。完璧にやる必要はありません。1つだけ選んで、明日から試してみてください。

よくある質問
Q. 営業経験がなくても、この5つは使えますか?
使えます。むしろ、経験が浅いうちに型を持っておくほうが、遠回りが減ります。まずは「相手の得を1行で書く」だけで構いません。
Q. 相手を絞ると、チャンスを逃しませんか?
絞ることは、他を切り捨てることではありません。決めた相手に集中的に会う時間をつくり、そこで型ができたら、広げていきます。最初から全員に当てはめようとすると、誰にも深く届きません。
Q. 断られるのが怖くて、行動が止まります。
断られた数を、失敗の数ではなく、分かったことの数として数えてください。3行メモを残せば、断られた1件が、次の商談の材料に変わります。怖さは消えなくても、動くための理由にはなります。
Q. 自分の会社に、決める人が分からない場合は?
最初の面談で「このご提案は、最終的にどなたが判断されますか」と聞いて構いません。聞くことは失礼ではありません。決める人に届かない提案は、先に進まないからです。
結び:売れる人は、頑張る前に「向ける先」を決めている
私は長いあいだ、売れない側にいました。だから、売れない営業の苦しさは分かります。そして、売れる側に移ってからは、頑張る量ではなく、頑張る向きで結果が変わることを実感しました。
営業は、才能の勝負ではありません。誰に、何の得を、どんな順番で届けるか。それを決める仕事です。
これは、営業職だけの話ではありません。経営者の方が、新しい販路や取引先を考えるときも、同じです。商品を売る前に、売る相手を決める。決めた相手に、続けて届ける。販路づくりは、この繰り返しだと考えています。
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