会食と出張の領収書を、次の商談につなげる記録に変える保存版メモ術

【要点】
・領収書の裏に、税務と営業の記録を書きます
・税務の5項目に、営業の3項目を足します
・週1回15分の振り返りで、記録を営業に戻します
会食に行き、出張に出て、領収書だけが財布に残ります。次の商談につながったのか、自分でも分かりません。
意外な原因は、領収書を税務のためだけに集めて、営業の記録として使っていないことです。
この記事では、会議費と交際費の記録を、次の商談につなげる振り返りに変える型を、そのまま持ち帰れる形でお渡しします。
野村證券のリテール営業で全国約7,000名中1位を4度。いまは代理店開拓で中小企業の販路をつくる会社「コミッターズ」を経営しています。川口です。
この記事の流れ
会食が「出費」で終わる会社の、3つの共通点
会議費と交際費、1人1万円の線引きを確認する
税務の5項目に、営業の3項目を足す
出張の日当は、「相場」と「紙1枚」で決める
会食の前に、1行の目的を決めておく
週1回15分の振り返りで、記録を営業に戻す

会食が「出費」で終わる会社の、3つの共通点
会食や出張が成果につながらない会社には、だいたい次の3つが当てはまります。
領収書は取っているが、誰と何を話したかの記録がない
会食のあとに、何を送るか、いつ連絡するかが決まっていない
経理が処理した後は、営業の誰もその記録を見ない
税務の記録と、営業の記録は、別のものだと思われがちです。しかし、実は同じ紙に両方を書けます。そうすれば、経理にとっても営業にとっても、手間は増えません。
会議費と交際費、1人1万円の線引きを確認する
まず、税務の側の基本を確認します。国税庁の説明では、交際費等とは、得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用です。そして、次の費用は交際費等から除かれるとされています。
会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用(経理では会議費と呼ぶことが多い費用です)
1人当たり1万円以下の飲食費(令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下)
1万円以下かどうかは、支出した金額を、飲食に参加した人数で割って判定します。たとえば、5人で4万円なら、1人当たり8,000円です。なお、専ら役員や従業員、その親族だけのための飲食は、この除外の対象になりません。また、判定は、税抜経理か税込経理かという会社の経理方式に合わせた金額で行います。
そして、1万円以下の飲食費として扱うには、次の事項を記載した書類を保存することが要件とされています。
飲食があった年月日
参加した得意先などの氏名または名称と、その関係
参加した人数
費用の額、飲食店などの名称と所在地
その他、飲食の費用であることを明らかにする事項
令和の総合商社の記事には、飲食費が会議費か交際費かという問いと、領収書の裏などに残す記録(メモ)の大切さがまとまっています。
飲食費の線引きと、記録の残し方は、こちらの記事にあります。
https://www.reiwa-sogoshosha.com/tax/kaigihi-kosaihi-1man/
税務の5項目に、営業の3項目を足す
ここからが営業の話です。上の5項目は、税務のために必要な記録です。ここに、営業のための3項目を足すと、領収書の裏が、次の商談の設計図になります。
相手が話してくれた課題や関心(1行)
次の約束(何を、いつまでに、誰が)
お礼を出した日と、その手段
この下の図をスクショ保存して見返してください。会食の翌朝に、そのまま書き写せる型です。
会食メモの型(領収書の裏に書く):
日付と店名、所在地
参加者の氏名と会社名、関係(取引先、見込み客、紹介者など)
人数と費用の額
相手が話した課題(1行)
次の約束(何を、いつまでに、誰が)
お礼を出した日
税務の事項は、1から3までに入っています。足したのは、4から6の3つだけです。この型で書けば、経理への提出と、営業の振り返りが、同じ1枚で済みます。
私が野村證券の宮崎支店の新人だったころ、毎日、手紙を3〜5枚書いていました。朝いちばんに、上司へ実物を見せる決まりでした。件数はごまかせても、手紙はごまかせません。会食のあとのお礼状も同じで、出したかどうかは、日付で見えます。会食メモの6番は、その日付を残す欄です。

出張の日当は、「相場」と「紙1枚」で決める
出張にも同じ考え方が使えます。令和の総合商社の記事では、社長の出張の日当は、相場と、紙1枚のルールで決めるとされています。
出張の日当を決める考え方は、こちらの記事にあります。
https://www.reiwa-sogoshosha.com/tax/shucchou-nittou-ryohi-kitei/
国税庁の説明では、出張旅費、宿泊費、日当などのうち、その旅行に通常必要であると認められる部分が対象になります。判断の際には、旅行の目的、目的地、期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容や地位などが考慮されます。さらに、次の2点も勘案されます。
支給額が、役員や使用人の全体で、適正なバランスが保たれた基準で計算されているか
同業種、同規模の他の会社が一般的に支給している金額に照らして、相当か
つまり、「相場」とは、同じ業種や規模の他社の水準のことです。「紙1枚」とは、全員に同じ基準で適用する、その基準を書いた紙のことです。社長だけが特別な基準になっていないか、見直してみてください。
出張日誌には、行き先や期間などの基本項目に加えて、営業のための項目も足しておきます。
訪問先と、会った人
その会社の課題や、次の動き
次の一手と、その期限
出張の最後に、5分でここまで書く。それだけで、出張の記録は、次の商談の入口になります。

会食の前に、1行の目的を決めておく
記録を活かすには、会食の前の準備も大切です。出かける前に、1行だけ書いてください。
今日の会食で、相手から聞き出したいことは何か
終わるまでに、次の約束として何を取りつけたいか
たとえば、「今期の仕入れ先の見直しの時期を聞く」「来月の訪問の日程を決める」といった具合です。目的が決まっていれば、会食のあとに書く「相手が話した課題」と「次の約束」が、そのまま目的の答え合わせになります。
目的を決めずに行くと、楽しい会食だったという印象だけが残って、メモの4番と5番が空欄になります。空欄が続く相手は、その会食が営業になっていなかったというサインです。責める必要はなく、次の会食の目的を決め直す材料にします。
週1回15分の振り返りで、記録を営業に戻す
記録は書いただけでは使われません。週1回、15分だけ、次の3つを見返します。
お礼を出していない相手はいるか
次の約束の期限が近い相手はいるか
同じ相手に、2回以上会っているのに、次の約束が決まっていない相手はいるか
お礼の言い回し例:「先日はありがとうございました。お話にあった〇〇の件、来週までに資料をお送りします。」
営業は、才能や学歴やコネがなくても、量と設計で変えられます。会食や出張のたびに出る領収書を、そのまま営業の記録に変える。この設計だけで、使ったお金の意味が見えるようになります。
なお、会議費や交際費の扱い、出張の日当の基準の作り方は、会社の状況によって変わります。個別の判断は税理士・社会保険労務士など専門家へご相談ください。
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